FPコンサルオフィス株式会社

過去記事:2021年、過去30年の日経平均への積立投資は報われた論の愚

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過去記事:いまの投資楽観論はここ10年ほどの金融緩和物語からつくられたと理解しておこう

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専門家の意見を知っておこう

過去、弊社では世の中に蔓延している投資に関する楽観論に警鐘を鳴らしてきています。
これまでお話してきたものと同じような見解を専門家が語り出していましたので、シェアいたします。

フィデリティ・インスティテュート 首席研究員 マクロストラテジスト重見吉徳氏の記事です。
「次の30年」は「過去の30年」とは異なる:All Things Must Pass』(フィデリティ投信)

詳細は是非リンク記事をご覧いただきたいのですが、いくつかのキーワードをチェック・引用しておきます。

「過去30年」の米国株価の上昇は異例であり、その背景を考えると、「次の30年」では再現不可能と見られます。

日本で存在感が高まってきたのが、
1.資産運用は、インデックス・ファンドの積み立てがよい
2.資産運用は、自分ひとりでできるものであり、アドバイザーは不要
という2つの考えでしょう。そして、これら2つは密接に関係しているでしょう。

しかし、考えていただきたいのは、「インデックス・ファンドの積み立て投資」における成功体験とは「そこに、強気相場があった」ということにほかなりません。

米国株式のデータは、過去150年にわたってさかのぼることができます。ここでは、その150年を30年ずつ、5つの局面に区切って、それぞれどんな動きだったのかを見てみます。
「過去30年の株価上昇率は、同じ30年間の1株利益の伸び率と比べると、不釣り合いに大きかった」ことが示されます。この両者を結びつけるのは「バリュエーションの上昇」(=PER(株価収益率)の上昇)にほかなりません。

左図出典『「次の30年」は「過去の30年」とは異なる:All Things Must Pass』(フィデリティ投信)

記事の筆者であり重見氏は
「金利がこれ以上は下がらないという、たったひとつの、しかし、確からしい仮定で、過去30年のような資産価格の上昇は再現不可能であることが示せる」
とのこと。

日本でも同じですね。
ここ10年の異次元緩和による政策でどれだけ公的資金により日本株が買われたか。

マネーセミナーや経験値の乏しいセルサイドの話は・・・

マネーセミナーで講師をしている人たちはどれほどこの業界での経験があるのでしょう。

マネーセミナーのコンテンツは、ほぼどのセミナーに行っても同じようなものになっていないでしょうか?
最終的に保険募集人として「特定保険契約商品」やIFAとして「投資信託」を販売する者が行っているマネーセミナーのコンテンツは、それらが属している金融機関が作成しているものや雛型になっているものがほとんどです。
ということは、パターンが同じだということです。

セミナーストーリーの最終形は ドルコスト命 に持っていく内容です。

弊社ではよく長期積立投資はいまだ再現性がないということをお伝えしています。
よく「過去のデータでみると、こんなにふえていた」と平気で話をしている人たちがいますが、その場、その時代にいた人たち(国内外問わず)が株式等の売買を行った結果がその結果になっているだけで、その話を平気でしている人たちが「その過去」からずっと現在に至るまでマーケットにいたのか、投資をしていたのかってことです。
特に、ドルコスト平均法しか推奨しない人たちは、相場が悪化した場合、日本全体・それぞれ個人がとんでもない経済状況になった場合、
・金銭的にもメンタル的にもそれをし続けることができるか
といった視点(想像力)が欠けています。
逆に
「相場が悪くなったら口数買えるんで、チャンスです。いい時期です」
といったセールストークを連発します。
滑稽です。机上の空論もいいところです。

新NISAへ取り組むにあたって

新NISA。
もちろん利用されたい方は積極的に利用されれば良いと思います。
それを前提とし、
ネットを中心に「NISA枠が一人1,800万円になった!!夫婦なら3,600万円!!」という金額の枠について喜んでいる声があります。

1,800万円って、地域によっては住宅購入できます。
つまり、一生の内、夫婦であれば新築(中古も含めて)住宅を2戸所有できる勢いの話だと思いませんか?
どれだけ経済力のある人たちがネットでコメントをしているのでしょうか。これについてはまた改めたいと思います。

私たちの人生は有限です。
あなたの人生で投資成果がプラスになるというのは不確実です。あまり、ネット情報やセルサイドのセールストークを鵜呑みにせず、投資は不確実であり、あなたの社会人としての常識力を使って取り組んでいってほしいと思っています。

投資に限らず、資産形成行為は、楽しい消費を我慢するところからはじまるのですから