研修:2008年10月「朝まで生テレビ」を見直して
研修の一環として、リーマンショック時の世界金融危機の当時について録画している『朝生』を見直しました。
そこで気づいたことがあります。
どんなに政治家や有識者、専門家が、その当時に事象の原因や対応策に気づいていたとしても具体的に何も行動されずに(結果、案を採用されずに)いるケースがほとんどで、日本は変わらないな となってしまいます。
そのような観点で社会を見ていくと、結局、それまでに関わった「内閣」「政治家」「官僚」「有識者」等の仕事の結果が 今 であるといえるでしょう。
では、その一部ではありますがシェアしていきます。
尚、以下の話の内容は当時のものです。
激論!世界金融緩和とニッポン(朝まで生テレビ)2008年10月24日(金)深夜放送
【出演者】敬称略()は当時
水野和夫(三菱UFJ証券チーフエコノミスト)
荻原博子(経済ジャーナリスト)
森永卓郎(経済アナリスト)
枝野幸男(民主党)
大塚耕平(民主党)
大門実紀史(共産党)
掘紘一(ドリームインキュベーター会長)
勝間和代(経済評論家)
ヤスパ-・コール(タンタロンリサーチジャパン代表)
伊藤達也(自民党)
大村秀章(自民党)
高木陽介(公明党)
田原総一朗
当時(2008年10月24日)の日経新聞にあった見出し等を確認すると
【日経平均 8000円割れ】
【円、13年ぶりの95円台】
【ソニー株、一時2000円割れ】
【グリーンスパン氏、「過ちを犯した」下院で証言】
当時、放送で語られていたのは、世界金融危機の後、
「あなたの仕事が得られるかどうか」「あなたの給料がどうなるか」
です。
この言葉からも15年ほど前と今とを考えた場合、変わっていないのではないかと想像できるのではないでしょうか。
国民の家計を犠牲にしてきた日本の金融
掘「リスクが中程度の債権を数多く束ねた証券化商品CDO(債務担保証券)が世界中にばらまかれた。」
ヤスパー「ブッシュ大統領は「米国人は皆住宅を持てるように」と政策を行った。ウラでは米国金融界が新しい証券商品を作って後押しした。(日本の80年代と同じ行為)」
米国は、好循環を前提に格付けしていった。
米国民皆が住宅を持つという政策について、住宅も皆が住宅を持ったらもう回らなくなるのに、マルチ商法みたいな仕組みだった。
それは投資銀行の人たちも分かっていた。
厄介なのは、知らないことじゃない
知らないことを、知っていると思い込むことだ
(出典)映画「マネーショート」より
田原「日本は戦後一貫して自由主義経済を標榜しながら自由主義をせず社会主義をやってきた。やたらと規制があって、護送船団方式で、銀行は金利も決められない、生保会社は商品もつくられない、小泉・竹中氏が自由経済主義に変えた。」
大村「金融は護送船団方式であるし、特に医療も診療報酬でやっているが、基本的な経済のメカニズムは自由主義です。構造改革はやるべきだ。」
田原「日本は社会主義で成功した唯一の国だと言われている。」
大塚「経済というのは理屈にあったことしか起こらないから、不良債権が減ったというのは誰かがその損失を負担した。その間、今回のバブルにも繋がる話ですがものすごい低金利政策をやってきたんです。日本は約180兆円の不良債権処理が行われた。その間、金利が低いことによって家計から失われた金利収入がちょうどその金額なんです。家計からの所得移転が行われて不良債権処理が行われた。」
田原「大塚さんが国民が犠牲になったと言っているが?」
伊藤「金融システムを回復させるためにやらざるを得なかった。」
与党「家計が負担した、そのかわり、中小企業の倒産を防いだ。」
掘「野村証券はサラリーマンの集まりだが、ゴールドマンやモルガンなどのインベストバンクというのは、出来高払いだから、多少ずるいこともする人もいる。」
勝間「金融の流通はサラリーマンだらけではまわらない。一部の人がやり過ぎたのは事実。」
人類史上最低金利! 低金利政策から異次元の低金利政策
いかがでしょうか。
2008年から14年、まったく同じですよね。
国民の金利を犠牲にして
日本の構造改革?
金融業界は、規制が強くなっていませんか?
規制と言っても高校生レベルの規制です。
原因は、そこで働く人たちのレベルが低下したからです。(私見)
2022年8月現在、さらに私見ですが、金融業界にはずるいことをする人たちが多すぎです。
欲望「お金」を求めて。
”貯蓄から投資へ”の話について
大門「アメリカでさえ、いままでのカジノ的なギャンブル的な金融の自由化がいいか悪いか問われているのに、日本も小泉さん以来規制緩和やってきたんですよ。それが良かったかどうか。”貯蓄から投資へ”ってさんざん煽ってですよ、投資信託を何十兆円と売ったわけですよ。郵便局で投資信託を一兆円以上、とくにおじいちゃんおばあちゃん相手に売られて、それが半分になっている。こういうことになっていることについて与党が自分たちがやってきたことに対して責任をとらないといけない。」
伊藤「煽っていない。日本の場合、一般の投資家が少ない。」
大門「おじいちゃんおばあちゃんにどんな説明をするかというと、長い目で見てくださいって、おじいちゃんおばあちゃんに長い目で見るのかって言うのか。」
枝野「リスクマネーかどうか分からない人にすれば、郵便局や市中銀行は普通の人からすれば安心安全だと思っている。証券会社であればリスクがあるのかなと、そのぐらいの常識はある人に、その銀行でリスクのある商品を売れるようにしたのは間違いない」
掘「郵便局や銀行の人たちが説明できる商品が売っていない。おじいちゃんおばあちゃんが理解できるわけがない。」
水野「いままでの日本の成長がすべてアメリカ一辺倒(輸出)だった。新自由主義が崩壊してアメリカ一辺倒ではいけないということを考えないといけない。」
田原「自民党は新自由主義を否定できない。」
田原「このまま株が下がったらどうなる?」
掘「時価会計をやっていて、本業では売上をつくっていても、たまたまお取引先の株式を持っていると、その株が暴落すると、それを損益計算書に反映すると赤字になってしまう。赤字になると、貸しはがしする銀行がますます銀行が金を貸さなくなる。」
掘「時価会計をやるってことは、投資家に透明性をもっとあげようということでやってるんだけど、いまやらないといけないことは投資家に情報をあげることではなくて、倒産させないで、税金も払う、雇用もして給料も払うってことなんですから日本人のためなんです。貸借対照表に書くのはいいけど、損益計算書に赤字にするような今の時価会計は・・・」
日本は製造業が機関車で、サービス産業は客車
ここまでの議論、正直 今の話? かと思うぐらいです。
それはこの後も続きます。
『製造業はモノが国境を越えて動くから国際競争の中で効率性が高くないといけない。介護や教育のサービス産業は国境がまだまだ高く、特に介護産業は賃金を上げていかないといけない。』
という声がありましたが、ずっと同じことを言っていると思いませんか?さらに
放送当時、
「6年間、景気拡大をしているのに雇用者の所得は減っている」
という話から
・労働分配率(収益から労働者に対する還元)が下がっているのは大企業だけで、中小企業は90年代からずっと生産性が上がらないから賃金をあげようにも賃金があげられない。
・大企業で働く正社員は賃金は下がっていない。
・大企業と中小企業(下請け)の利益配分を変えないと問題解決はできないが、その方法論は難しい。
・中小企業(下請け)と大企業との取引要件が厳しい。
・中小企業の労働分配率は比較的高い、利益が小さい中小企業のほとんどは内需で、内需をあげないといけない。
といった意見がでていましたが、これらは今も同じですね。
派遣について、製造業も派遣がなくなったら働く人がいなくなるから、正社員を増やさないといけなくなるでしょう。
もちろん1万人派遣が減って1万人が正社員になるってことはないでしょうが。
といった意見も。
このような番組で語っていたことを振り返り感覚的にでも検証してみると、今、働いている環境が良くないのは、やはり政治家を中心にした既得権益者たちが自分たちの利益を守ってきたことによるものが大きいのではないでしょうか。