
奨学金の利用者・利用額は多い
独立行政法人日本学生支援機構が運営する奨学金は、給付型(お金を返す必要なし)と貸与型(卒業後お金を返す必要あり)の2種類あります。
お金は、学生が大学等に実際進学後に受け取る仕組みになっています。
大学のために奨学金が必要な場合は、高校3年生のときに申込を予約するということになります。(予約採用)
ですので、入学金を含む進学時初年度にかかる費用が自身の貯蓄等で賄えない場合は、教育ローンを使うなどを考えないといけません。
給付型を受けることができる要件は、「住民税非課税世帯」「本人父母の資産が基準額未満」「学力基準」などです。
奨学金の多くは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSOジャッソ)が実施している貸与型で、国の事業です。
他多数、学校や団体も実施しています。
平成29年度から令和5年度までの7年間に、JASSOが奨学金を給付した学生数は延べ68万人、給付金額累計は5,933億円です。
貸与奨学金は、卒業後に返済を開始することになりますので、利用者にはかなりのプレッシャーになると思います。
奨学金の金利が上がっています。日銀による異次元の金融政策による長期金利上昇の影響です。
※JASSOは、返済を返還としています。

奨学金の返還(返済)開始は、貸与が終了(卒業)してから7か月目からとなります。
返還方法は、定額返還方式(毎月返還金額が同じ)と所得連動返還方式(毎年返す金額を見直していく)があります。
貸与奨学金には、保証(保証機関、もしくは両親などの連帯保証)をつけなければなりません。
第二種奨学金の利率は、貸与が終わったときに決定する利率固定方式と貸与が終わったときに決定した利率を約5年ごとに見直す利率見直し方式があります。
ただし、利率は一般のローン金利よりもとても低いです。
高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付奨学金)
2020年4月、高等教育の修学支援新制度がスタートしました。
「高等教育の修学支援新制度」は返還を要しない給付型奨学金と授業料・入学金の免除または減額により、大学・短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化する制度です。
世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。
授業料・入学金の免除・減額は確認大学等が、給付型奨学金の支給は日本学生支援機構が行います。
令和7年度から多子世帯の学生等について、所得制限なく、大学等の授業料・入学金を国が定める一定額まで無償となりました。

第一種奨学金(無利子で借りる)
奨学金の申込方法は、予約採用(進学前に申込)と在学採用(在学中に申込)の2種類があります。
奨学金の予約採用とは、大学や短大、高専、専修学校専門課程に進学希望を持っている人で本年度3月に高等学校等を卒業予定の、卒業後2年以内の人が申込可能です。
奨学金の在学採用とは、毎年春及び秋に在籍する学校を通じて奨学金の申込みをすることができる制度です。
貸与奨学金は、貸与終了後に返還の義務があります。
利子のつかない第一種奨学金と、利子のつく第二種奨学金があり、両方の貸与を受けることも可能です。
第一種奨学金の貸与月額(平成30年度以降入学者)は、次のとおりです
【大 学】
最低2万円~最高6万4千円
【短 大】
最低2万円~最高6万円
【大学院】
最低5万円~最高12万2千円
第二種奨学金(有利子で借りる)
奨学金の在学採用とは、毎年春及び秋に在籍する学校を通じて奨学金の申込みをすることができる制度です。
第二種奨学金の貸与月額は、次のとおりです。
【大 学】
最低2万円~最高12円
私立大学の医・歯学の課程の場合、120,000円に40,000円の増額が可能です。
私立大学の薬・獣医学の課程の場合、120,000円に20,000円の増額が可能です。
【短 大】
最低2万円~最高12万円
【大学院】
最低5万円~最高15万円
法科大学院の法学を履修する課程の場合、15万円に4万円または7万円の増額が可能です。
貸与利率はHPでご確認ください。
海外留学のための給付奨学金(返済不要)
【学部学位取得型】
支援期間は原則4年間。
渡航費、月額13万9千円~35万2千円(留学先エリア等によって異なる)。(2025年度募集のもの)
2025年度募集実績(出典:JASSO)
応募者数371名
採用者数118名
海外留学のための貸与奨学金(返済必要)
奨学金返還支援(代理返還)制度
企業が奨学金返済を支援しています。
奨学金返還支援です。
企業が従業員の奨学金返還残額をJASSOへ直接送金し、奨学金を肩代わりする制度です。
令和5年度末時点で代理返還制度を利用している企業等の数は1,798社、令和5年度に支援を受けた人数(支援対象者数)は4,477人です。
肩代わりできる企業があるというのは頼もしいことではありますが、全返還者数からの割合は0.1%ほどです。ここにも格差を感じますね。

国が行っている奨学金制度で利息(金利負担*)が発生するというのはいかがなものでしょうか。
*金利負担は在学期間中は計算されず、卒業後に金利が確定されます。
普通に勉強やクラブ活動をしている高校生の立場で考えると、大学に進学したいと思うのは普通の心理でしょうし、たとえば社会人になって100万円や200万円というお金を返済するという感覚は今の大人が行っている「車を購入」「家を購入」というものを目の当たりしていると楽観して考えるのではないでしょうか。
学生という立場の者に対して、せめてある一定額までの利息はゼロにするなどできないものでしょうか。
なお、教育ローンは親が返済する形になり、奨学金は学生本人が返済していく形です。
国の教育ローンと奨学金の違い

(出典)日本政策金融公庫