年金の繰上げ繰下げなど、損得論と保険論が語られているが
老齢年金を繰上げ受給すると「減額された年金で一生涯受給となる」
老齢年金を繰下げ受給すると「増額された年金で一生涯受給となる」
年金について考えていると、この話はよく耳にすることでしょう。
そのときに
「繰下げ受給しても、いつ寿命がくるか分からないからもらう前に亡くなったら損」
という論に対して
「そもそも年金は賦課方式で自分が払った分をもらうというものではないし、寿命が分からないからこそ終身年金という長生きしたときに備えた保険という機能があるので、損とか得とかといった考え方は違う」
という保険論があります。
実際、どう考えていけばいいのでしょうか?
それぞれがポジショントークと思っておけばいいでしょう。
まず、年金の繰上げは割引(▲0.4%/月)繰下げは割増(+0.7%/月)という受給増減ルールがあり、これについての基本的な考え方は財政中立(割引率、死亡率より年金数理計算)です。
財政中立の中での増減率の設定なので、国民それぞれが自分の人生設計の中で選択していけばいいのであって、ライフプラン・キャッシュフロー表も作成しないような金融マンや評論家があーでもないこーでもないと語るのはただのポジショントークです。
当サイトでも「年金の繰上げ・繰下げによる65歳受給と比較しての損得」シミュレーションを行っていますが、人の性として、減額とか増額とかの話があれば損得勘定してしまうのは普通のことでしょう。
しかもそれが「年金」のことですから。
実際、政府側(に近い人たちや仕事をもらっていそうな人たち、及び金融マン)からの情報発信は損得で語り、できるだけ繰下げさせようとしているように受け取れます。W
年金受給もキャッシュフロー表作成をしないと判断できない
結局、年金受給開始のベストに近いベター策は、それぞれの家計において、今後の収支と現在の金融資産を把握しないとはじまりません。
毎年毎年、将来の家計を見える化していくことがどれだけ有益であるかを知ることが金融教育のはじまり点であり、金融リテラシーの出発点だと思います。
それがないのが株主命・金儲け主義になってしまった今の日本の金融業界です。