年金が売り続け、それを自社株買いで支える構図か?
「2024年度も株式市場で外国人買いは続くのか?」(第一生命経済研究所)というレポートがありましたので、日本株について関心のある方はお読みください。
レポートにある投資部門別売買動向を一部グラフ化(上図)しました。
グラフで分かるのが「自社株買い」「日銀ETF」の買い越しであり、それがないとどうなっているの?ってことですね。
こういうところから想像できますが、上場会社の役員は、自社の株価を上げること、株主配当を上げることを株主(特に海外投資家)から指示されていることでしょう。それがストックオプションにもつながりますから。
アベノミクス以降、「異次元の金融緩和」「日銀ETF買い」「GPIF日本株買い」「ゆうちょマネー等の株買い」「自社株買い」が日本株式市場を復活させてきました。
そのマネーを大きく利益確定させていったのは「海外投資家」といった構図ですね。
気になるのは、公的マネーによる株買いで多くの日本人に恩恵はあったのか?というところです。
特にGPIFの利益は現役世代に還元してほしいですが、そういう発想がないのが政府です。
そう社会保険料に充当することでどれほど恩恵あるか。
【関連記事】JPXの株式年間売買状況(金額)
2023年(1/4-12/29)投資部門別 株式売買状況
投資主体別売買動向(2024年1月~2024年4月上旬)
投資信託と信託銀行経由がずっと売ってきていますね。
信託銀行経由はGPIFですね。
ずっと売ってくる機関投資家になってしまいましたね。
平均株価40,888円(3月22日)
流通している株式を持っている人が売り、それを買う人がいた場合に株価が形成されます。
株式売買によるキャピタルゲインは、それを持っていれば、でありますが、その要因(需給要因以外)が景気が良いということであれば、株式保有していなくても何らかの正の影響を期待できると思います。
現在の株高が働く現役世代にとって、経済的にどのような正の影響を与えているのか。上場企業でお勤めされている方は給与や賞与、持株会などで確かな恩恵があるかもしれませんが、上場企業の取引先はどうなのでしょうか?
現在の上場企業の行動を見ていると、泣かされている(泣いている)のではないかと思っています。
金融緩和、物価高、円安、東証の市場改革、新NISA制度等の要因で株高となっている日本株式市場。
というと「そうなのか」と思いますが、やはり買っているのは誰かということが気になります。
2023年度は海外勢と事業法人が買い越しで、個人投資家やGPIF(信託銀行経由と想定)は売り越しでした。
株価は、その時に取引している市場参加者の思惑で形成されていきます。
高速取引、AI取引、空売り専門の機関投資家によって個人投資家はメンタルをやられてしまう可能性もあります。
個人投資家はうまく波に乗っていかないといけません。
投資信託へ投資をしている投資家は?
日々の株価や基準価額に一喜一憂することはないかもしれませんが、何もしないことで麻痺してしまうことは、実際保有している自分の金融資産を「ただの数字」としてしか捉えられなくなってしまう危険性もあります。
そうなってしまうと本来の「お金は使うもの」だということを忘れてしまうことになってしまいます。
【追記】
(出典)モーニングサテライト(テレビ東京)2024年4月18日放送
追記です。
テレ東「モーサテ」(2024年4月18日)で同じことを指摘していました。
左・・・2009年3月~累積売買動向
右・・・2019年~2023年度の自社株買い実施の平均額