「ありえないほど下落」させて「ありえないほど上昇」させるシミュレーション
上図をご覧ください。
ドルコスト平均法を有利に説明するためのものです。
投資信託の基準価額1万円が千円にまで下落した内容です。
10分の1です。
千円や2千円ずつ下落していってのものです。
(ここでは細かい指摘はおいておきましょう)
しかし、このようなシミュレーションを作成したり、説明することに何も抵抗感はないのでしょうか?
ありえないほど下落させています。
このようなシミュレーションを作成して、ドルコスト平均法の有利の面だけを強調しているマネーセミナーや金融機関のパンフレットがあります。
目的は、下がっても全然大丈夫!下がった方が良いくらい!と言って、ドルコスト平均法が有利な投資方法であるということを強調するためです。
さて、細かい指摘はいいですが次のような指摘は必要です。
このようなシミュレーションで説明している人には、
「どのような経済環境であれば、そこまで下落するのでしょうか?」
と尋ねてみてください。
投資信託って、上場企業株の集まりです。
はじめたときよりも90%マイナスになった場合、かなりの上場企業が破綻し、ほとんどの中小零細企業も連鎖倒産していることが想像できます。
分かりやすくイメージしていただくために
日経平均3万円が3千円に
NYダウ3万ドルが3千ドルに
になったというものです。
そのような経済環境下で、のんきに「ドルコスト~!ドルコスト~!」「口数!口数!」と言って投資している人たち、投資できる人たちがどれほどいるのでしょうか?
そういうことを想定することが投資をする上において、必要なことだと思うのですが、そのようなことを全く理解していないセルサイドが多いこと多いこと。
そして、ありえないほど上昇させています。
このシミュレーションを見て、常識力ある方ならピンとくると思いますが、
基準価額が千円になったものが2千円になるということは、100万円が200万円
になり、
基準価額が千円になったものが6千円になったら600万円
になることを意味しますので、
基準価額が10分の1になる異常なシミュレーションするのであれば、同時に一括投資をしたほうが良いことも説明に付け加えたりするべきです。
(机上のシミュレーションであれば、一括投資をシミュレーションするのは普通の考えでしょう)
それをしないのはなぜでしょう?
(ドルコスト平均法しか知らない?)セルサイドは積立投資をさせること自体が目的になってしまって、顧客に資産形成してもらうという本来の目的が忘れ去られているのではないかと思います。
手段と目的がおかしくなり、自分たちが何をシミュレーションしているのか分からなくなっているのではないかと思います。
10分の1になる可能性がある説明をするのであれば、一時金投資のチャンスがあるという説明をしないとダメですよね。
というよりも、一時金投資のためのシミュレーションではないかと思ってしまいます。
これがいまのセルサイドたちの金融リテラシーです。
念の為に
上図シミュレーションにおいて、6千円からまた千円ずつ下落していった場合、また元本割れするリスクはあります。
そういった説明もしないのも金融リテラシーの問題と他の法令の問題もあります。
逆のシミュレーションは必須です
基準価額が10分の1になるような極端なシミュレーションを作成した場合、当然その逆のシミュレーションも作成しないといけません。
残念ながら、それをしているところはほとんどないんですね。
逆といって10倍ではありません。^^;
千円や2千円ずつ上昇、下落していくというものです。
率ではなく、額でいいのです。
いかがでしょうか。
基準価額1万円のものが2万円まで上昇したあと反転し、仮に1万4千円にまで下がったとした場合、その時点で元本割れするという感じですね。
つまり、ドルコスト平均法は「はじめ時とやめ時のセット」で結果が決まるということです。
よく「はじめ時なんて誤差の範囲、やめ時さえちゃんとしていれば大丈夫」的な話をセルサイドや積立投資ネットワーカーの上の方にいる人たちが囁いていますが、「はじめ時とやめ時のセット」です。
そして同時に大切なのは
メンタル力と入金力のセットです。