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大新聞には情報は正しく発信してほしい

日経新聞の中には「柱」がなく、ポジショントークが多いのではないか!?

12月21日の社説「個人や企業の資金を市場通じて成長に」を読んだ際、すぐに違和感が生じ、二度読みをした。その部分は、

個人資産が市場を通じて企業の成長に十分に回っているとは言いがたい。「貯蓄から投資へ」のパイプを太くすれば、
経済活性化の道も広がる。
14日の衆院予算委員会で岸田文雄首相は企業が株主に利益を還元する自社株買いについて、規制とも解釈できる
「ガイドライン」に言及した。


これは、情報を正しく発信していない典型だと思います。
以前、日本経済新聞「大機小機」(2020年10月10日)『貯蓄から投資」は万能か』という記事の中で、つぎのようにきちんと書かれていました。

個々の家計には固有の条件があり、一律に「貯蓄から投資へ」を受け入れることは難しい
(中略)
富裕層なら不意の損失にも耐えられるが、普通の高齢世帯にとってリスク投資のハードルは高い。国債、国内債券投信など低リスク投資や
預貯金のウエートが高いことは、それなりに意味がある。
「貯蓄から投資へ」が進めば、その資金が企業に回って経済の活性化に資するという議論の危うさだ。
株式投資の資金の流れはこうだ。投資家が市場に流通する株式の買い注文をだし、成約すると、買い手の購入代金が売り手に支払われて
売買取引は完結する。
資金の流れは株式を発行する企業の資金繰りとは無関係なのである。企業が投資マネーを手にするのは、株式売り出しや、公募増資など
新規株式公開(IPO)のときの話である。


同じ日経新聞です。
つまり、株式への投資は「IPO」「PO」でない場合、ただの売った買った儲かった損したの世界になるというのに、今回の社説はそれを説明せずに、
ただ投資をすれば経済活性化になるかのように書かれています。
これは、投資をすすめる人たちがよく使っているセールストークのひとつです。
日本人の多くはこれらのことが分かっていないと思います。それは
日本にある証券投資にまつわる情報は、正しくない情報が蔓延しているからです。

次に、岸田首相の話ですが、これは実際にそのときの国会でのやり取りを聞いていれば分かりますが、証券界隈の人たちも言っているような
あたかも自社株買いを否定することをメインに行われた話ではありません。
メインは、アベノミクス以降企業収益が最大なのに賃金上昇なく、個人消費も上昇しない、日本人は一向に豊かにならない
という話でした。
その中で「株主への配当」がとんでもなく増えていているという話があり、一方で日本人の賃金や企業の設備投資は増えずに、逆に減っており、
大きく増えた利益の大部分は株主配当へ回っていることが日本の経済停滞要因になっているというところから繋がっていったものです。

普通の日本人が一生懸命働いても賃金上昇しないということよりも自社株規制の話が少しでただけで、そこを切り取って、
本質を伝えない姿勢はいかがなものか。

当日の日経新聞の速報記事などが正しくない情報を発信した可能性があります。
社説では中立に、正確に伝えてほしいと思いました。