
退職後の健康保険は任意継続?国保?扶養?
ご承知の通り、日本は国民皆保険制度です。
退職後、すぐに再就職(適用事業所に再就職をすると健康保険に加入)をしない場合、健康保険について、ご自身で以下のいずれかに加入する手続きを行います。( 特例退職被保険者制度は除いております)
①国民健康保険に加入・・・保険料の額は市区町村によって異なります
任意継続被保険者にならない人、再就職をしない人は国民健康保険に加入します。前年の所得などに応じて決定されますので、人によって自治体(それぞれで運営されています)によって異なります。
退職日の翌日から2週間(14日)以内に手続きを行わなければなりません。
減免制度があります。
国保の加入者は40歳以上の中高齢者が多く、加入者の60%が減免制度を利用しているようです。
国保には扶養者という概念がありませんので、扶養家族の人数によっては任意継続が良い場合もあります。
いったん国保に加入すると、任意継続への変更はできません。
②ご家族の健康保険(被扶養者)に加入・・・ご家族の健康保険組合にて配偶者や子供の健康保険の扶養に入ることで、保険料負担無しで健康保険に加入できますので一番お得な方法です。(条件確認要)
被扶養者の範囲は年収130万円未満ですが、60歳以上であれば、年収180万円未満であることや扶養される家族の年収の1/2であることが必要です。
従いまして、年金がしっかりある場合、該当しない可能性もあります。
③任意継続健康保険に加入・・・加入していた勤務先(加入期間が2か月以上)の健康保険の保険者にて2年間加入可能
在職中は会社が保険料を半分負担していますが、任意継続被保険者になると、会社負担分も含めて全額自己負担となります。しかし、上限があります。退職時の標準報酬月額が前提ですが、退職時の標準報酬月額が30万円(上限)を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料となります。給料が高かった方は国保よりも安くなる場合があります。
退職後(資格喪失後)は全額自己負担となり、原則2年間変わりませんし、国保へ変更もできません。なお、2022年1月からは本人の申し出による中途脱退が可能になりました。
手続きは資格喪失後20日以内に行わなければなりません。
扶養家族の方の保険料はかかりません。(国保は世帯の加入人数で保険料が異なります)
前納制度があります。
②③の保険給付については、これまでと原則同じですが、傷病手当金および出産手当金は支給されません。
また、健康保険組合にもよりますが、人間ドックの受診補助があったり、保養所施設を活用できたりします。
いろいろあるが、退職後はどれを選ぶ?
お金のことになりますので、事前にシミュレーションをしておくことが大事になります。
任意継続?
減免制度のある国保?
子供がいるから扶養に入る?
子供はいないから任意継続か、国保か
2022年1月施行 任意継続被保険者制度の見直し
いままでは、任意継続被保険者となった日から2年間は他の健康保険制度(扶養含む)へ変更ができなかったのが、2022年1月より
被保険者からの申請により途中で任意継続被保険者の資格を喪失することができるようになりました。下記枠内(現行要件)に追加されるということです。
【 現行の任意継続被保険者の資格喪失要件 】
任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき
死亡したとき
保険料を納付期日までに納付しなかったとき
被保険者となったとき
後期高齢者医療の被保険者等となったとき
船員保険の被保険者となったとき
また、任意継続被保険者の標準報酬月額の決定について、健康保険組合(協会けんぽ以外)について、例外が認められることになります。
2022年1月より
第1号に掲げる額が第2号に掲げる額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、第1号に掲げる額(当該健康保険組合が第2号に掲げる額を超え第1号に掲げる額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額)をその者の標準報酬月額とすることができる。
つまり、組合によっては上限がなくなることが想定されますので、よく確認しておくこととなります。
協会けんぽは関係ありません。
【 現行の任意継続被保険者の標準報酬月額決定について 】
任意継続被保険者の標準報酬月額は、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額とする。
(1)当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
(2)前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額