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GPIF、2020年度の運用状況

(出典)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)

37兆円、利益確定して国民に還元するべきでは?

7月2日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、2020年度の運用収益額としては37兆7986億円増え、積立金残高は186兆1624億円に膨らんだと発表しました。

世界的な株価の上昇で内外株式の含み益が増えたのが要因です。
株式市場が大幅増になった大きな理由は実は「コロナ」です。コロナによって、米国がとんでもない金融緩和を行った影響です。

コロナ禍で必死に社会保険料を負担しながら経営している数多の企業、事業主、そして生活をしている個人。

年度過去最高の37兆7986億円(+25.15%)については、、放出しても良いのではないでしょうか?
積立金全額と言っているのでははありません。コロナ禍の1年での異常な株高の利益分のみです。
賛成の方も多いのではないでしょうか?
一部、反対の声をあげる人たちもいるでしょう。
それは、積立投資や投資をしている個人ではないかと思います。

GPIFの運用成果を絶賛するネット民,投資ブロガーらのポジショントーク

いつも滑稽に思うことがあります。それはGPIFの運用成果を報道するメディア関係者らに対して

メディア(マスコミ)は下がった時だけ大騒ぎして、黒字のときは沈黙している。
こんなに運用実績が良いGPIF様に感謝しろ。

といったような声です。
これは、GPIFの運用成果の報道があるたびに反応しているGPIF絶賛派・擁護派の声です。
何が滑稽か?

まず、そもそもGPIFが運用している種銭は、本来であれば年金保険料負担者に返還しないといけないものと考えるべきです。なぜなら、年金は積立方式ではなく賦課方式だからです。
現役世代が負担した保険料が余ったのなら現役世代に返すというのは普通の考え方でしょう。
それについて、まずは主張したほうがいいのではないでしょうか。(しかし、そのようなことは一切言いませんね)

次に、この手の声をあげているネット民の多くは、自分が株式投資や積立投資をしていて、GPIFがリスク資産へ巨額投資をしてくれたおかげで間接的に恩恵を受けている層が多いです。つまり、ポジショントークです。
ポジショントークでないのなら、公的年金にまつわる各種制度等の動きについても、声をあげるべきでしょうが、それについては沈黙です。

何より、国民にとってGPIFの運用というのは黒字であることが最低基準(参照点)です。
普通の人が、GPIFの運用実績が悪かった場合に対して注視したり、大騒ぎするのは当然のことです。

日本の問題に社会保険料負担増で苦しむ事業者・個人がある

年金保険料をはじめとした社会保険料負担、消費税負担が事業者・個人のキャッシュフローを苦しめています。
これが原因のひとつとして、賃金増につながらないという事実があります。
可処分所得が増加しない個人家計が苦しい状況のままでは、消費増にはつながりません。
ましてや、コロナ禍でどれだけの企業や個人がキャッシュフローに苦しんでいることか。

出来過ぎリターン分は、年金保険料負担者である現役世代に返還するべきです。

(出典)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)