FPコンサルオフィス株式会社

生命保険の役割は「保障」なのだが

生命保険という商品の大きな大きな役割は 保障 です。
これを「忘れている?」「軽視している?」かのような情報発信をするFP資格保有者や販売現場での商品提案を目にします。
たしかに、生命保険業界は営業現場を中心に「数字命」「手数料命」になっており、「保障の大切さ」よりも「営業数字の大切さ」が優先されていると思われます。

皆様に知っておいてほしいのですが、生命保険(死亡保障商品)は、家族の死亡という悲しみを癒すことはできませんが、経済的な保障という安定は与えることができます。生命保険商品への加入、特に死亡保障商品への加入は、自分たちの力で家計を守ることができるとても意味があり、力のある方法です。

あなたが扶養家族を持ったなら、
家族のことを考えて、
もしものとき家族の生活水準を低下させることなきよう生命保険商品と向き合ってみてください。
家族の経済的安定を図っていくことは大人としての責任です。
生命保険は、不確実なものを確実にすることができる選択肢となります。しかも低廉です。

社会保障を重視して生命保険を軽視?

生命保険商品を契約することに対して否定もしくは否定に近い情報発信者がいます。
死亡保障・医療保障として、公的保障があるからというのが理由の大半です。
公的保障の財源は誰か、生命保険契約のそれは誰か?
生命保険は、自助努力部分であり、自分の責任において自分の生活を保障していくというものです。

他人様が家族のためを思って、自己責任で契約している生命保険に対して、見ず知らずの他人が否定しているのをみるたびに思うことがあります。
その影響を受けて保険を解約もしくは契約しなかった状態でもしも(死亡・医療関係)があったとき、否定している人たちは「責任」とれるのかということをです。
 「困っている家族に金銭的援助ができるのかな」
 「他人に対して責任とれない情報発信をしていいのか」
と思っています。

見ず知らずの他人(保険否定論者や投資をすすめたいネット民たち)は、他人様の家族の必要保障額を計算したのでしょうか?その必要保障額が公的保障で不足していたら・・・

分かっていることは、生命保険契約から支払われる保険金・給付金の効能により、社会が安定しているのは確かなところです。

見ず知らずの他人の意見に影響を受けて自分自身の判断を誤らないように気をつけましょう。

大数の法則を個人目線で使っている否定論者たち

保険加入否定論者たちの考えの基本になっているのが
大数の法則を契約者ベースでみている
ところです。

大数の法則

「生命保険」とは、相互扶助を基本とし、大数の法則を科学的に活用し、将来の経済面の生活不安に対して安心に暮らしていけるように今準備しておく商品です。

保険料の基本的な考え方をご説明いたします。
保険(生命保険や自動車保険、火災保険等)の本質は大数の法則を活用したリスク分散になっています。
生命保険における大数の法則とは、性別や年齢、健康状態等々の諸条件を同一にし、たくさんの人間の例を集めることで、死亡率を確認することができるというものです。

例えば、「〇歳の健康な男性」が今後1年間に死亡する確率があります。
それが「10万人中100人」であれば、死亡率は「0.1%」となります。
この人たちに必要な死亡保険金額は「1千万円」と仮定した場合、

10万人×X=100人×1千万円
X=100人÷10万人×1千万円=10,000円

となり、一人当たりの保険料が10,000円(純保険料)となります。
これが成り立つことが大前提であり、これを「収支相等の原則」といいます。
また、「給付・反対給付相等の原則」があります。

現実的には、保険料受領時期と保険金の支払時期にずれが発生しますので、予定利率を用いて割引計算をしていきます。
予定利率が高いと保険料は安くなり、予定利率が低いと保険料は高くなります。

最終的に保険契約者の保険料は、付加保険料(予定利率の影響もあります)を加えて算出されます。
純保険料と付加保険料を足した保険料が「営業保険料」となります。

大数の法則は、契約者(個人)側の理論ではありません。
保険会社側の論理ですので、よく次のような誤った見解を見かけますが、
「保険は保険会社が儲かるだけだから入らないほうがいい」
これはこの手の原則を理解していない考え方だといえます。

そして、繰り返しになりますが、保険会社は大数の法則の確率論だけでは破産しますので、経費や利益を考えていきます。
生命保険会社の収益源は、「死亡率」「事業費」「運用利回り」の3つからになります。

確率を使った生命保険業界が確率を示さない

生命保険業界では、ここ最近、というよりも10年ほど、資産形成商品としてリスクある商品を販売するアプローチが増加しています。
恐らく資産形成を重視した金融業界の風潮の影響もあるでしょう。
しかし、それが目の前にいる顧客にとって正しい商品提案になっているかは別だと思っています。
弊社は、当サイト内での情報発信でもお分かりの通り、リスク性資産へ投資するにあたっては徹底して「うまい話はない」ということを主張し、金融業界の不適切な説明に疑義を呈しています。

・固定金利を使っての複利運用シミュレーション
・リスク(標準偏差)ある投資の確率を示さない

私がこれらを質問した際、正面から回答を示したセルサイドはいません。
特に、生命保険は不確実な人の生死等について「確率」を使って成り立っている商品であり、業界です。
そうであれば、投資の確率論も十分分かっているはずです。

生命保険会社は長期の資産運用業務を行う機関投資家でもあります。
資産運用部門がリスク(標準偏差)を考慮していないことはありません。
生命保険会社は、お客様に対してはリスク(標準偏差)を示さず、かつ確率も示さず、投資信託を使った特定保険契約を資産形成としてすすめることを「顧客本位」だと思っているのでしょうか?

言われないとできないのでしょうか?
何か問題が起こらないとやらないのでしょうか?