弊社での積立投資戦略会議(?)は積立投資は標準偏差があるということをお伝えしています
弊社は、投資は自己責任原則のもと、お客様がリスクをとって投資を行うにあたり、日本のFP資格者をはじめ、金融事業者がほとんど行っていない、というよりは行うことができないであろう「積立投資の確率シミュレーション」を行いながらコンサルを行っています。
巷間、ここ10年ほどの日銀が行っている異次元の金融緩和(アベノミクス第一の矢)により、大幅に株価が上昇したことにより、副作用的な歪んた情報を喧伝しているセルサイドやネットのインフルエンサーたちが増加しています。
彼らに共通している概念は、「リスク(標準偏差)を理解していない」ということです。
ここ15年ほどの経験値ではありますが、個人的に思っているのが、一販売員(営業パーソン)レベルでは、これらの概念さえ持ち合わせていないのではないかと思っています。なぜなら、販売員は所属している金融機関から教えてもらうことが全てのような知識でしか話をしないからです。
よくあるマネーセミナーのコンテンツの大部分は金融機関がベースを作っています。
当サイトをご覧になって下さっている読者の方には、是非認識していただきたいのですが、リスク(標準偏差)はプラスにもマイナスにも振れる幅のことだということです。
その振れ幅が、投資結果に影響を与えることになります。
リスクのある積立投資は10年でもこれだけの振れ幅になる
上図をご覧ください。
本来、このような図は金融事業者が作成するべきものですが、金融事業者(とくに金融機関)は不都合な真実をお客様に知らしめてしまうために、これらを作成しません。もちろん、作成能力は抜群に持ち合わせています。
25年ほど営業現場で顧客に接している者からして、顧客本位の業務運営の原則にある情報の非対称性について、全金融機関がどのように考えているのか疑問ではあります。
さて、上図は積立”投資”のシミュレーションです。
仮定の条件は、【期待リターン5%、想定リスク20%、毎月5万円を10年間、1万回のモンテカルロシミュレーション】を行い、その1万回のうち、任意の30回分をグラフ化したものです。
期待リターン5%を赤色の太いラインで表示しています。(このラインがほとんどの金融事業者が説明している積立投資です)
上図30パターンのうち、どれも期待値(≒754万円)通りにはなっていません。
10年後に期待値(≒754万円)を上回っているケース、下回っているケースが多数ありますが、これは「想定リスク20%」によるものですね。
その幅は、1,235万円~326万円です。
これを素直に見ていただき、赤い太い線より上下にある多くのラインが「上出来」なのか「不出来」なのか「許容範囲」なのか「期待値通り」なのか、を謙虚に受け止めて、今後の積立投資戦略に生かしていっていただければと思います。
弊社では、リスクある資産への投資(複利運用)は
一部の勝ち組をつくり、大多数の負け組をつくる
ということをお伝えしています。
つまり、圧倒的確率で期待値通りにはならないのが投資なのですが、どの金融機関が作成している積立投資に関するパンフレットやそれらに関する商品パンフレットはどれもこれも期待値通りになるシミュレーションを使っています。
それらには、ディスクレーマーをつけてはいますが、普通の人にはそれは通用しないでしょう。何せ、ほぼすべての金融事業者が同じシミュレーションを使っているのですから。
業界の業界による業界のための洗脳ですね。
左図は、上図の振れ部分をピンクと緑の点線枠で囲ったものです。
過去10年ほどに積立投資をされている方の多くは、ピンクの枠にいるような感じではないでしょうか。
赤い太い線は「5%」ですので、それを上回っているという点で、よくできていると判断できるのではないでしょうか。
それは、日銀様が人類史上初の異次元な金融政策をしたおかげだと思うことができるか、できないかです。
オーバーコンフィデンスには気を付けるようにしましょう。